工事写真・写真台帳·公開 2026年10月3日·FUKULO(合同会社商陣)

電子小黒板とは?国土交通省での扱い・改ざん検知・メリットと注意点、アプリの選び方

電子小黒板は、木の黒板を持つ人がいなくても、撮影と同時に黒板の情報を写真に記録できるしくみです。国の工事では、改ざん検知の機能をもつ機器を使うことが条件になっています。この記事では、国土交通省の通知の中身、メリットと注意点、アプリを選ぶときの見方を順に説明します。

目次
  1. 電子小黒板とは|木の黒板との違い
  2. 電子小黒板の国土交通省での扱い
  3. 電子小黒板の改ざん検知(信憑性確認)とは
  4. 電子小黒板のメリット
  5. 電子小黒板の注意点|後付け・現場の条件
  6. 電子小黒板アプリの選び方
  7. 電子小黒板で撮った写真を整理するときに
  8. 電子小黒板のよくある質問
  9. 電子小黒板のまとめ

電子小黒板は、工事写真に写し込む黒板(小黒板)を、スマホやタブレットの画面上の黒板に置き換えるしくみです。一般には、工事写真のアプリに黒板の機能が付いていて、工事名や工種を入力した黒板を画面に重ねて撮影する形がよく使われています。

この記事では、電子小黒板とは何か、国土交通省の工事でどう扱われているか、使うときのメリットと注意点、アプリの選び方を順に説明します。今は木の黒板で撮っている会社が、電子小黒板に切り替えるかどうかを考える材料にしてください。

電子小黒板とは|木の黒板との違い

電子小黒板とは、工事写真を撮るときに、黒板の記載情報を電子的に記入し、写真と同時に記録する方法です。国土交通省の通知では「デジタル工事写真の小黒板情報電子化」と呼ばれています。

木の黒板(チョークで書く黒板やホワイトボード)との違いは、次のとおりです。

比べる点木の黒板電子小黒板
黒板の記入チョークやマーカーで手書きスマホやタブレットで入力
撮影の人数黒板を持つ人と撮る人の2人になりやすい1人で撮れる
文字の読みやすさ字の上手さや天気に左右されるいつも同じ文字で読める
黒板の情報写真の中の絵としてだけ残る写真のデータとしても残り、整理に使える
改ざんへの備え写真そのものに仕組みはない改ざん検知(信憑性確認)の機能をもつものがある

ポイントは、電子小黒板は「黒板の絵を写真に重ねる機能」だけではない、ということです。国の工事で使う場合は、撮影後に写真が手を加えられていないかを確かめられる機能まで含めて、電子小黒板と考えます。この点は次の節で説明します。

工事写真の黒板に何を書くかは、木の黒板でも電子小黒板でも同じです。書き方は工事写真の黒板の書き方で説明しています。

電子小黒板の国土交通省での扱い

電子小黒板は、国土交通省の工事で使うことが認められています。営繕工事(官庁の建物の工事)では、平成29年(2017年)4月1日以降に入札手続きを行う工事から運用が始まりました(国土交通省の報道発表)。

土木などの工事については、国土交通省の通知「デジタル工事写真の小黒板情報電子化について」で扱いが決められています。令和5年3月15日付けの改定(令和5年4月1日以降に入札手続きを行う工事から適用)では、おおむね次のように書かれています(国土交通省の通知)。

  • 目的は、現場撮影の省力化、写真整理の効率化、工事写真の改ざん防止
  • 使う機器やソフトウェアは、受注者が選んで調達する
  • 機器は、写真管理基準の「撮影方法」に示す項目を電子的に記入できること、かつ信憑性確認(改ざん検知機能)をもつこと
  • 信憑性確認は、国の暗号のリスト(CRYPTREC暗号リスト)に載っている技術を使っていること
  • 導入の費用は、技術管理費の写真管理に要する費用に含まれる
  • 小黒板の情報を電子的に記入した写真を納品するときは、信憑性確認を行い、その結果をあわせて監督職員に提出する

通知では、使用機器の例として、一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)の対応ソフトウェアの情報が挙げられています。ただし、あくまで例であり、そこから選ばなければならないわけではない、とも書かれています。

都道府県や市町村の工事でも、国の通知に準じて電子小黒板を使えるようにしている発注者が多くあります。ただし、扱いは発注者ごとに違うので、実際の工事では発注者の特記仕様書に従います。迷ったら、着工前に監督職員に「電子小黒板を使いたい」と相談し、使う機器を伝えておくのが確実です。

電子小黒板の改ざん検知(信憑性確認)とは

電子小黒板の改ざん検知(信憑性確認)とは、撮影したあとに写真のデータが書き換えられていないかを、あとから確かめられるしくみです。撮影のときに写真のデータから計算した値を一緒に記録しておき、提出のときに改めて計算して一致するかを見る、という考え方です。

国の工事では、もともと工事写真の無断の修正を防ぐために、監督や検査のときに写真を確かめる手間がかかっていました。電子小黒板の通知の目的にも、この負担を減らすことが書かれています。改ざん検知の機能があれば、監督職員は写真が撮ったままかどうかを、ツールで確かめられます。

このため、国の工事で電子小黒板を使うときは、次の2つがそろっている必要があります。

  1. 撮影するアプリが、改ざん検知に対応した形で写真を記録できる
  2. 提出の前に、信憑性チェックのツール(または、それを組み込んだ写真管理ソフト)で写真を確かめ、結果を出せる

ポイントは、改ざん検知に対応した写真でも、明るさの調整や切り抜きなどで手を加えると、確かめたときに「改ざんあり」と出てしまうことです。電子小黒板で撮った写真は、撮ったままのデータを残しておき、台帳に貼る用の写真とは分けて管理するのが安全です。

電子小黒板のメリット

電子小黒板のメリットは、現場の撮影の手間が減ることと、写真の整理がしやすくなることの2つに分けられます。

撮影の手間が減る

  • 黒板を持つ人が要らず、1人で撮れる
  • 高い所や狭い所、重機の近くなど、黒板を持って近づきにくい場所でも撮れる
  • チョークで書いて消す手間がなく、同じ工種の黒板を使い回せる
  • 雨や風で黒板が見えにくくなる心配が少ない

整理がしやすくなる

  • 黒板に入力した工事名・工種・測点などが写真のデータに残るので、写真を工種ごとに分けやすい
  • 写真管理ソフトに取り込むと、黒板の情報から台帳の説明を作れるものもある
  • 字の読みにくさで写真の撮り直しをすることが減る

一般には、撮影の人数が減るメリットを一番に挙げる会社が多く見られます。特に、現場代理人が1人で写真を撮っている小さな現場では、黒板を持ってくれる人を待たずに撮れることが大きな違いになります。

木の黒板から切り替えるときの進め方

電子小黒板に切り替えるときは、いきなり全部の現場で使うより、1つの現場で試してから広げる会社が多く見られます。最初の現場では、よく使う工種の黒板をあらかじめアプリに登録しておき、現場では選んで撮るだけにしておくと、慣れていない人でも迷いません。しばらくは木の黒板も車に積んでおき、端末の電池切れや不具合のときに使えるようにしておくと安心です。

電子小黒板の注意点|後付け・現場の条件

電子小黒板にはメリットが多い一方で、使う前に知っておきたい注意点もあります。

発注者の扱いを先に確かめる

公共工事では、電子小黒板を使えるか、どの機器を使うか、提出の形はどうするかを、発注者の特記仕様書と監督職員の指示に合わせます。国の通知でも、受注者が使う機器を監督職員に示すことが書かれています。民間工事でも、元請や発注者が写真の形を決めていることがあるので、着工前に確かめておきます。

「後付け」の黒板は扱いが違う

検索では「電子小黒板 後付け」という言葉もよく見られます。撮影したあとに、写真に黒板の画像を重ねる使い方のことです。国の通知の電子小黒板は、撮影と同時に黒板の情報を記入し、改ざん検知で確かめられるものを指しています。撮影後に黒板を重ねた写真は、それとは別のものとして扱われ、公共工事では写真の編集にあたるとされるおそれがあります。後付けの黒板を使いたいときは、使ってよいかを発注者に確かめてください。

現場の条件と端末

  • 直射日光の下では画面が見えにくく、黒板の位置合わせがしにくいことがある
  • 高温・多湿・粉じんの現場では、スマホやタブレットの故障に気をつける(国の通知でも、こうした現場で機器の使用が難しい工種には配慮する旨が書かれている)
  • 電池切れに備えて、予備のバッテリーや、木の黒板を車に1枚積んでおく

写真のデータの扱い

改ざん検知に対応した写真は、撮ったままのデータを納品するのが前提です。パソコンに移すときに写真を縮めたり、名前を付け替えたりする道具を通すと、確かめたときに一致しなくなることがあります。提出用の元データは、手を加えずに別の場所に保管しておくのが安全です。

電子小黒板アプリの選び方

電子小黒板のアプリは、無料のものから、写真管理ソフトと組み合わせて使う有料のものまで、たくさんあります。選ぶときは、次の順番で見ていくと迷いにくくなります。

  1. 使う工事を決める公共工事で使うか、民間工事だけか
  2. 改ざん検知への対応公共工事で使うなら、信憑性確認に対応しているかを確かめる
  3. 黒板の項目と様式発注者の求める項目(工事名・工種・測点など)を入れられるか
  4. 端末と撮影のしやすさ手持ちのスマホで動くか、現場の人が迷わず使えるか
  5. 写真の取り出しと整理撮った写真をどう取り出し、台帳や納品にどうつなぐか
図:電子小黒板のアプリを選ぶときに確かめる順番

公共工事で使うなら

公共工事で使うなら、改ざん検知(信憑性確認)に対応していることが第一の条件です。J-COMSIAのサイトでは、電子小黒板に関するソフトウェアの情報や信憑性チェックのツールが公開されているので、候補のアプリが対応しているかを確かめられます。あわせて、発注者が使っている写真管理ソフトや電子納品の形に、撮った写真をつなげられるかも見ておきます。

民間工事だけで使うなら

民間工事だけで使うなら、改ざん検知よりも、黒板の項目を自社の工事に合わせて直せるか、現場の人が使いこなせるか、を重く見てかまいません。無料のアプリから試し、1つの現場で使ってみてから広げる会社も多くあります。工事写真のアプリ全体の選び方は工事写真のアプリの選び方で説明しています。

撮ったあとの流れも見る

アプリを選ぶときに見落としやすいのが、撮ったあとの流れです。写真を工事ごとにどこに保管するか、台帳をどう作るか、チームでどう共有するか。撮影の機能だけで選ぶと、写真がスマホの中にたまったままになり、台帳を作るときに困ることがあります。

電子小黒板で撮った写真を整理するときに

電子小黒板で撮った写真も、最後は写真台帳や報告書にまとめて発注者に渡します。一般には、撮った写真をパソコンに移し、工事ごとのフォルダに分けてから、Excelの台帳に貼る形がよく見られます。

先にお伝えしておくと、フォトフクロウには電子小黒板(黒板の写し込み)の機能はありません。改ざん検知や電子納品の出力にも対応していません。そのため、公共工事で電子小黒板の写真を納品する場合は、撮影したアプリや写真管理ソフトの決まりに従ってください。

そのうえで、撮った写真を工事ごとに整理し、社内で共有し、写真台帳をExcelで作る、という部分にはフォトフクロウが使えます。工事写真はフォルダのままドラッグして預けられ、撮影日時の順に並び、撮影日ごとに見出しが付きます。

工事の画面。左にフォルダの木、右に写真フォルダの中身。上に検索・絞り込み・並べ替え
実際の画面:工事の画面。左にフォルダの木、右にフォルダと写真(Googleドライブのような形)

上の画面は、工事の写真を見る画面です。左にフォルダの木、右に写真が並ぶ、Googleドライブのような形です。写真ごとに工種・種別・撮影箇所・説明を入れて、写真台帳をExcel(出したあとも直せます)やPDFで出せます。なお、預けるときに写真は長い辺1600pxに縮めるため、納品用の元データは別に保管しておく使い方になります。民間工事の台帳づくりや、社内の写真の共有に向いています。14日間無料で、カードの登録なしに試せます。

電子小黒板のよくある質問

電子小黒板とは何ですか?

工事写真の黒板の情報を、スマホやタブレットで電子的に記入し、撮影と同時に写真に記録するしくみです。国土交通省の通知では「デジタル工事写真の小黒板情報電子化」と呼ばれています。

公共工事で電子小黒板を使ってもよいですか?

国土交通省の工事では、改ざん検知(信憑性確認)の機能をもつ機器を使うことを条件に認められています。都道府県や市町村の工事は発注者ごとに扱いが違うので、特記仕様書を確かめ、監督職員に相談してください。

電子小黒板を後付けしてもよいですか?

撮影後に黒板を重ねる使い方は、国の通知の電子小黒板とは別のものです。公共工事では写真の編集にあたるとされるおそれがあるため、使ってよいかを発注者に確かめてください。

無料の電子小黒板アプリでも大丈夫ですか?

民間工事で使うなら、無料のアプリでも足りることがあります。公共工事で使う場合は、改ざん検知に対応しているか、提出の形に合わせられるかを先に確かめてください。

電子小黒板のまとめ

電子小黒板は、黒板の情報を撮影と同時に電子的に記録し、1人でも工事写真を撮れるようにするしくみです。

  • 国の工事では、改ざん検知(信憑性確認)の機能をもつ機器を使い、納品時に確かめた結果を出す
  • 都道府県や市町村、民間の工事では、発注者の決まりを先に確かめる
  • 撮影後に黒板を重ねる「後付け」は、公共工事では扱いが違うので発注者に確かめる
  • アプリは、使う工事、改ざん検知、黒板の項目、使いやすさ、撮ったあとの流れの順に見る

まずは民間の工事や社内の記録で試し、使い方に慣れてから公共工事に広げる、という進め方もあります。撮った写真を台帳にまとめる方法は、工事写真台帳の書き方で説明しています。

14日間無料・カード登録なし

工事写真の整理と台帳づくりを、もっと早く

工事写真をフォルダのまま預けて撮影日順に整理し、工事写真台帳をExcel・PDFで出力します。料金は月980円から公開しています。