工事写真台帳とは?見本で分かる書き方と、作り方の手順
工事写真台帳は、写真1枚ごとに「工種・種別・細別・撮影日・撮影箇所・説明」を書き、工事の流れの順に並べれば形になります。この記事では、よく使われる1ページ3枚の見本を使って項目ごとの書き方を確かめ、並べる順番と表紙、作り方の選び方までを順に紹介します。
目次
工事写真台帳とは|工事の写真に説明を付けて並べた書類
工事写真台帳とは、工事の途中で撮った写真を、工種や撮影の区分ごとに並べ、1枚ずつ説明を付けた書類です。「写真帳」「工事写真帳」「写真台帳」と呼ぶ会社もあり、中身はほぼ同じです。
工事が終わると、仕上げの裏に隠れた部分は目で見て確かめられなくなります。基礎の鉄筋、壁の中の配管、屋根の下地などは、完成したあとでは外から見えません。工事写真台帳は、その見えなくなる部分が図面や仕様書のとおりに施工されたことを、あとから第三者が確かめられるようにする記録です。
一般には、次のような形でまとめている会社が多くあります。
| 項目 | よくある形 |
|---|---|
| 用紙 | A4縦 |
| 1ページの写真の枚数 | 3枚(2枚・6枚の形もある) |
| 写真の横に書くこと | 工種・種別・細別・撮影日・撮影箇所・説明 |
| 並べる順番 | 着手前 → 施工中(工種ごと) → 完成 |
| 表紙 | 工事名・工事場所・工期・発注者・施工者 |
| 提出の形 | 紙に印刷して綴じる、またはPDF・Excelで渡す |
公共工事では、発注者が写真の撮り方や整理の仕方を決めていて、それに合わせて作ります。民間工事やリフォームでは決まった様式がないことが多く、施工者が自社の形で作って施主や元請に渡します。どちらの場合も、上の表の項目がそろっていれば、工事写真台帳として通用する形になります。
自社の今の工事写真台帳が、この表のどこまでそろっているかを確かめてみてください。全部そろっていれば十分で、足りない項目だけを足せば形は整います。
工事写真台帳が求められる場面と目的
工事写真台帳は、工事の品質を証明する書類として、いくつかの場面で求められます。目的が分かると、どの写真を残し、どこまで説明を書けばよいかの判断がしやすくなります。
工事写真台帳の目的の1つ目は施工の証明
工事写真台帳の一番の目的は、見えなくなる部分の施工を証明することです。完成検査や引き渡しのときに、発注者や検査をする人は、仕上げをはがして中を確かめることはできません。写真と説明がそろっていれば、「鉄筋のかぶり厚さは図面どおりだったか」「防水の重ねしろは足りていたか」を、書類で確かめられます。
工事写真台帳の目的の2つ目はトラブルの防止
引き渡しのあとで雨漏りやひび割れが出たとき、施工の記録があるかどうかで話し合いの進み方が変わります。工事の途中の写真がそろっていれば、原因が施工にあるのか、それ以外にあるのかを落ち着いて確かめられます。リフォームでは、施工前の写真が「もともとどうだったか」を示す材料にもなります。
工事写真台帳の目的の3つ目は社内の記録と引き継ぎ
工事写真台帳は、社内の記録としても役に立ちます。同じお客様から次の工事の相談が来たとき、前回の写真台帳を開けば、どこに何を使ったかがすぐ分かります。担当者が替わったときの引き継ぎや、若手の教育の教材にも使えます。
工事写真台帳を出す相手
工事写真台帳を渡す相手は、工事の種類によって変わります。
| 工事の種類 | 主な提出先 | よくある形 |
|---|---|---|
| 公共工事 | 発注者(国・自治体など)の監督職員 | 発注者の基準に沿った台帳と、写真の電子データ |
| 民間の建築工事 | 施主・設計事務所・元請 | 自社の様式の台帳(紙またはPDF) |
| 下請けの工事 | 元請の現場代理人 | 元請が指定する様式の台帳 |
| リフォーム・修繕 | 個人のお客様・管理会社 | 施工前と施工後を並べた台帳や報告書 |
元請や発注者から様式を指定されている場合は、そちらに合わせるのが基本です。指定がなければ、次の節の見本の形で作れば、どの相手にも伝わる工事写真台帳になります。
工事写真台帳の見本|1ページ3枚の基本の形
工事写真台帳の見本として、A4縦に写真を3枚並べ、右に項目を書く形を見ていきます。公共工事でも民間工事でもよく使われる並びです。下の画面は、無料で配っている工事写真台帳のExcelの記入例です。
| 工事写真台帳 | |||||
| 工事名 | 山田製作所 第二工場 屋根改修工事 | 施工者 | 株式会社サンプル工務店 | ||
| 写真 1 | 工種 | 屋根工事 | |||
| 種別 | 既存屋根撤去 | ||||
| 細別 | 着手前 | ||||
| 撮影日 | 2026/10/05 | ||||
| 撮影箇所 | 北面 全景 | ||||
| 説明 | 既存折板屋根。錆と穴あきあり | ||||
| 写真 2 | 工種 | 屋根工事 | |||
| 種別 | 既存屋根撤去 | ||||
| 細別 | 撤去状況 | ||||
| 撮影日 | 2026/10/06 | ||||
| 撮影箇所 | 北面 1〜3通り | ||||
| 説明 | 既存折板の撤去。下地の母屋は再利用 | ||||
| 写真 3 | 工種 | 屋根工事 | |||
| 種別 | 新設折板 | ||||
| 細別 | 完了 | ||||
| 撮影日 | 2026/10/12 | ||||
| 撮影箇所 | 北面 全景 | ||||
| 説明 | 新設折板屋根 t=0.8 の葺き上がり | ||||
| 写真は枠に合わせて貼り付けます(右クリック→図の書式設定→サイズを枠に合わせる)。 | |||||
記入例は、株式会社サンプル工務店(現場代理人 田中 太郎)が、株式会社山田製作所の第二工場で屋根の改修をした工事です。写真1が着手前、写真2が既存の屋根を撤去しているところ、写真3が新しい屋根の完成です。
この見本で押さえておきたいのは、写真と項目が1対1で横に並んでいることです。どの写真について書いた説明なのかが一目で分かるので、読む人が迷いません。1ページに3枚だと、写真の大きさと文字の量のつり合いがよく、印刷しても写真の細部が見えます。
1ページの枚数の選び方
工事写真台帳の1ページの枚数は、写真で何を見せたいかで選びます。
| 枚数 | 向いている写真 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 2枚 | 細部を大きく見せたい写真(配筋・溶接・寸法の確認) | ページ数が増える |
| 3枚 | ほとんどの工事(最もよく使われる) | 説明は2行くらいに収める |
| 6枚 | 枚数の多い工事、施工状況の流れを見せる写真 | 写真が小さく、黒板の文字が読みにくい |
迷ったら3枚で作り、細部を見せたい写真だけ2枚のページにする方法が扱いやすくなります。Excelでの枚数の変え方は写真台帳をエクセルで作る方法の記事で詳しく扱っています。
工事写真台帳の書き方|項目ごとの記入例
工事写真台帳の書き方を、写真の横に書く6つの項目ごとに見ていきます。例は、見本の写真3(新しい屋根の完成)です。
工事写真台帳の項目① 工種
工種は、工事をいくつかの大きな区分に分けたときの名前です。「屋根工事」「基礎工事」「内装工事」「電気設備工事」のように書きます。公共の土木工事では、発注者の積算の区分(工種・種別・細別)に合わせて書くよう求められることが多く、民間工事では見積書の大きな項目にそろえると分かりやすくなります。
工事写真台帳の項目② 種別
種別は、工種をもう一段細かく分けた区分です。屋根工事なら「既存屋根撤去」「新設折板」のように書きます。見積書の中項目とそろえておくと、写真と金額の内訳を照らし合わせやすくなります。
工事写真台帳の項目③ 細別
細別は、種別をさらに分けたもの、または撮影の区分を書く欄として使われます。見本では「着手前」「撤去状況」「完了」のように、工事のどの段階の写真かを書いています。公共工事の写真の分類(着手前及び完成写真・施工状況写真・安全管理写真・使用材料写真・品質管理写真・出来形管理写真など)を書く欄にしている会社もあります。
工事写真台帳の項目④ 撮影日
撮影日は、写真を撮った日です。「2026/10/12」のように年から書きます。デジタルカメラやスマホの写真には撮影日時が記録されているので、そこから写すと間違いがありません。黒板に書いた日付と台帳の日付がずれていないかも、最後に確かめます。
工事写真台帳の項目⑤ 撮影箇所
撮影箇所は、写真がどこを写したものかを書く欄です。「北面 全景」「X2通り Y3通り 柱脚」「2階 洋室 北側の壁」のように、図面と照らし合わせられる書き方にします。「屋根」だけだと、広い屋根のどこなのかが分かりません。通り芯・部屋名・測点番号など、現場で共通の呼び方を使うのが基本です。
工事写真台帳の項目⑥ 説明
説明は、その写真で何を確かめたのかを1〜2行で書く欄です。見本では「新設折板屋根 t=0.8 の葺き上がり」と書いています。ポイントはここです。写っているものを言葉で言い直すのではなく、図面や仕様書のどの内容を確かめた写真なのかを書くと、読む人がその写真を見る理由が分かります。
| 説明の書き方 | 読む人の受け取り方 |
|---|---|
| 屋根の写真 | 何を確かめた写真か分からない |
| 新設折板屋根の完成 | 完成したことは分かる |
| 新設折板屋根 t=0.8 の葺き上がり。棟包み・ケラバの納まりを確認 | 仕様と、確かめた箇所が分かる |
表紙の書き方
工事写真台帳には、1枚目に表紙を付けるのが一般的です。表紙には、工事名・工事場所・工期・発注者名・施工者名(会社名と現場代理人)を書きます。冊子に綴じる場合は、背表紙にも工事名と年度を入れておくと、棚から探しやすくなります。工事名は契約書や注文書と同じ書き方にそろえ、略さないのが基本です。
工事写真台帳の並べ方|写真の順番の決め方
工事写真台帳の写真は、読む人が工事の流れを追えるように並べます。一般には、次の順番で並べている会社が多くあります。
- 着手前の写真(工事の前の全景・各面)
- 施工中の写真(工種ごとに、作業の順番で)
- 使用材料の写真(搬入した材料の規格・数量)
- 品質・出来形を確かめた写真(寸法・試験)
- 安全管理の写真(朝礼・KY活動・安全設備)
- 完成の写真(着手前と同じ位置・同じ向き)
工種ごとにまとめてから日付順に並べる
工事写真台帳の並べ方で迷いやすいのは、日付順にするか工種ごとにするかです。撮った日付の順にすべて並べると、複数の工種が同時に進む現場では、屋根と外壁と設備の写真が入り混じって読みにくくなります。一般には、まず工種ごとにまとめ、その中を日付の順に並べる形が読みやすいとされています。
着手前と完成は同じ位置から撮った写真を対にする
着手前と完成の写真は、同じ位置・同じ向き・同じ広さで撮ったものを対にすると、何が変わったかが一目で伝わります。完成の写真を撮るときに、着手前の写真をスマホで見ながら立ち位置を合わせると、ずれにくくなります。撮影の段階で気をつけることは、工事写真の撮り方の記事にまとめています。
写真に番号を付ける
工事写真台帳の写真には、通し番号を付けておくと便利です。打合せ簿や検査の記録に「写真No.12参照」と書けるようになり、書類どうしをつなげられます。番号は並べ終わってから振ると、途中で写真を入れ替えても番号が飛びません。
工事写真台帳の作り方|Excel・ソフト・アプリの違い
工事写真台帳の作り方には、大きく分けて3つの方法があります。どの方法でも、写真を集めて整理し、項目を書いて、印刷やPDFで出すという流れは同じです。
- 撮影する黒板に工種・撮影箇所などを書き、写真に写し込む
- 写真を集めるカメラやスマホから、パソコンや共有の場所に工事ごとにまとめる
- 整理する工種・撮影の区分ごとにフォルダを分け、要らない写真を外す
- 台帳に並べる写真を順番に並べ、工種・種別・細別・撮影日・撮影箇所・説明を書く
- 確かめて出す抜けと誤字を確かめ、印刷・PDF・Excelで提出する
Excelで作る
工事写真台帳を作る方法で一番多いのは、Excelで作る方法です。会社のパソコンに入っていることが多く、テンプレートを1つ用意すれば、追加の費用はかかりません。写真を枠に貼り、右の欄に項目を書いていきます。
一方で、写真が100枚を超えると、1枚ずつ貼ってサイズを合わせる作業に時間がかかり、ファイルも重くなります。写真を差し替えると、後ろのページの並びがずれることもあります。枚数の少ない工事や、様式を自由に変えたいときに向いている方法です。
写真台帳ソフトで作る
パソコンに入れて使う写真台帳のソフトもあります。写真をまとめて読み込み、決まった様式に自動で並べられるものが多く、公共工事の写真の整理や電子納品の形式に対応したものもあります。買い切りのものと、月ごとに払うものがあります。
アプリやクラウドで作る
スマホのアプリやクラウドのサービスで、撮影から台帳づくりまでをまとめて行う方法もあります。撮った写真を現場から送れるので、事務所に戻ってから写真を移す手間が減ります。会社の中で写真を共有できるのも利点です。アプリの種類と選び方は、工事写真アプリの選び方の記事で用途別に整理しています。
| 作り方 | 向いている会社・工事 | 気をつけること |
|---|---|---|
| Excel | 写真の枚数が少ない工事、様式を自由に変えたい | 枚数が多いと貼る手間とファイルの重さが増える |
| 写真台帳ソフト | 公共工事が多い、決まった様式で大量に作る | パソコンごとに入れる必要があるものが多い |
| アプリ・クラウド | 複数の人で写真を集める、現場から送りたい | 機能と料金の幅が広いので、用途で選ぶ |
どの方法が正しいということはありません。年に数件の工事ならExcelで十分ですし、毎月いくつもの現場が動いている会社なら、写真を集める段階から仕組みにしたほうが時間を取り戻せます。
工事写真台帳を作るときの確認リスト
工事写真台帳を提出する前に、次の点を確かめます。
- 表紙の工事名・工期が契約書と同じ書き方になっている
- 着手前と完成の写真が、同じ位置・同じ向きで対になっている
- 埋め戻しや打設で見えなくなる部分の写真がそろっている
- 写真の黒板の文字が、印刷しても読める大きさで写っている
- 撮影日が黒板と台帳でずれていない
- 撮影箇所が図面と照らし合わせられる書き方になっている
- 説明に、何を確かめた写真かが書いてある
- 写真の向き(縦・横)がそろい、ページからはみ出していない
撮り忘れを防ぐには、着工の前に撮る写真を一覧にしておく方法がよく使われます。工事写真の撮影計画表のテンプレートも使えます。黒板に何を書くかは、工事写真の黒板の書き方の記事で項目ごとに説明しています。
工事写真台帳を早く作るには
工事写真台帳づくりで時間がかかるのは、項目を書くことよりも、写真を集めて並べ、枠に合わせて貼る作業です。現場ごとにスマホやカメラから写真を移し、フォルダを分け、Excelに1枚ずつ貼っていくと、写真が多い工事では1日がかりになることもあります。
この手間を減らす方法の一つが、写真をクラウドに預けて、台帳の形で出す方法です。フォトフクロウでは、工事写真をフォルダのままドラッグして預けると、撮影日時の順に並び、撮影日ごとに見出しが付きます。写真台帳は、A4の紙の上で直接直す画面と、表で入力する画面(1行1枚。Excelからの貼り付けもできる)の2通りで作れます。

工種・種別・細別・撮影箇所・説明は、よく使う文例から選んだり、まとめて転記したりできます。出力の本体はExcelなので、出したあとも自社で直せます。同じ配置でPDFも出せるので、施主や元請にはPDF、社内の控えはExcelという使い分けもできます。
チームで工事を共有できるので、現場の担当者が写真を預け、事務の人が台帳を仕上げるという分担もしやすくなります。14日間は無料で、カード登録なしで試せます。始めると【サンプル】の工事(写真8枚・台帳1冊)が入っているので、自社の写真を入れる前に、台帳がどう出るかを確かめられます。
工事写真台帳のよくある質問
工事写真台帳に決まった様式はありますか?
法律で決まった全国共通の様式はありません。公共工事では発注者が写真の撮り方や整理の仕方を定めているので、それに合わせます。民間工事では、工種・種別・細別・撮影日・撮影箇所・説明を写真の横に書く形がよく使われます。
工事写真台帳の1ページに写真は何枚がよいですか?
一般にはA4縦に3枚の形が最もよく使われます。細部を見せたい写真は2枚、枚数の多い施工状況の写真は6枚にするなど、写真の目的で使い分けます。
工事写真台帳の写真の順番はどう並べますか?
着手前、施工中(工種ごとに作業の順番)、使用材料、品質・出来形の確認、安全管理、完成の順が一般的です。工種ごとにまとめてから、その中を日付の順に並べると読みやすくなります。
工事写真台帳はExcelで作ってもよいですか?
発注者や元請の指定がなければ、Excelで作って問題ありません。写真の枚数が多いときは、写真の貼り付けと並べ替えに時間がかかるので、ソフトやクラウドのサービスを使う方法もあります。
工事写真台帳のまとめ
工事写真台帳は、見えなくなる部分の施工を写真と説明で証明する書類です。決まった様式がない場合でも、次の点を押さえれば、どの相手にも伝わる形になります。
- A4縦に写真3枚、右に工種・種別・細別・撮影日・撮影箇所・説明を書く
- 撮影箇所は図面と照らせる書き方にし、説明には何を確かめた写真かを書く
- 着手前、施工中(工種ごと)、材料、品質・出来形、安全、完成の順に並べる
- 表紙に工事名・工事場所・工期・発注者・施工者を書き、写真に通し番号を付ける
まずは工事写真台帳のテンプレートの記入例と、自社の写真台帳を並べてみてください。足りない項目が分かれば、次の工事からそのまま使えます。
工事写真の整理と台帳づくりを、もっと早く
工事写真をフォルダのまま預けて撮影日順に整理し、工事写真台帳をExcel・PDFで出力します。料金は月980円から公開しています。
最新記事