工事完了報告書の書き方|記載項目・写真の付け方・提出のタイミングと完了届との違い
工事完了報告書は、工事が終わったことと、その中身を発注者に伝える書類です。法律で決まった様式はないため、宛先・工事名・工期・完了日・工事の内容・完了の確認・写真の7つを押さえれば、1枚で十分に伝わります。この記事では、記載項目の書き方、写真の選び方、出すタイミングを順に説明します。
目次
工事完了報告書は、工事を請け負った会社が、工事が終わったことを発注者や元請に知らせるために出す書類です。一般には、工事が終わってから請求書を出すまでの間に、施工前と完了の写真を付けて1〜2枚にまとめる会社が多く、ExcelやWordの自社の様式で作る形がよく見られます。
この記事では、小さな工事会社やリフォーム会社が自分で作る工事完了報告書を中心に、記載項目、書き方、写真の付け方、出すタイミングを順に説明します。自社の様式と見比べて、足りない欄があれば足す、という読み方をしてください。
工事完了報告書とは|目的と出す相手
工事完了報告書とは、契約した工事が終わったことを、工事の内容と写真を添えて報告する書類です。「工事完了報告書」のほか、「完了報告書」「施工完了報告書」「竣工報告書」などの名前でも呼ばれます。
工事完了報告書を出す目的は、大きく3つあります。
- 工事が終わったことを、日付つきで正式に伝える
- 契約どおりの内容で施工したことを、写真と確認の結果で示す
- 請求や引き渡し、保証の手続きに進むきっかけにする
出す相手は、工事の形によって変わります。元請から仕事を受けた専門工事会社なら元請へ、工場や店舗の修繕を直接受けたなら発注者の担当部署へ、個人のお住まいのリフォームならお客様へ、というのが一般的です。
工事完了報告書について、法律で作成が義務づけられているわけではありません。そのため様式も会社ごとに違います。ただし、元請や発注者から様式を指定されることはよくあります。指定があればその様式に合わせ、指定がなければ自社の様式で出す、と考えておけば迷いません。
ポイントは、工事完了報告書は「終わりました」という知らせであると同時に、あとで「どこまでやったか」を確かめるときの記録にもなる、ということです。数年後に雨漏りや不具合の相談を受けたとき、完了時の写真と確認の結果が残っていれば、話が早く進みます。
工事完了報告書と完了届・完成通知の違い
工事完了報告書とよく似た名前の書類に、完了届や完成通知があります。名前が近いので混同されやすいのですが、出す相手と根拠が違います。
| 書類 | 出す相手 | 根拠 | 主な中身 |
|---|---|---|---|
| 工事完了報告書 | 発注者・元請・お客様 | 契約や取引先の求め(法律の義務はない) | 工事の内容・完了の確認・写真 |
| 工事完成通知書・完成届 | 発注者(公共工事など) | 請負契約書の定め | 工事が完成した旨と日付 |
| 完了検査申請(建築確認を受けた工事) | 建築主事・指定確認検査機関 | 建築基準法 | 建築確認どおりにできたかの検査の申請 |
| 開発行為などの工事完了届 | 都道府県・市町村 | 各法令・条例 | 許可を受けた工事が終わった旨 |
建築確認を受けた工事では、建築主が、工事が完了した日から4日以内に建築主事等に届くように完了検査を申請することが、建築基準法第7条で決められています。これは行政に出す手続きで、発注者に出す工事完了報告書とは別のものです。
公共工事では、請負契約書の定めに従って、工事が完成したことを発注者に通知し、検査を受ける流れになります。様式は発注者が決めていることが多いので、契約書と特記仕様書を確認してください。
民間の工事で、取引先から「完了報告を出してください」と言われたら、多くの場合はこの記事で扱う工事完了報告書のことです。迷ったら、相手に「様式の指定はありますか」と一言聞いておくと確実です。
工事完了報告書の記載項目|10の欄
工事完了報告書の記載項目は、会社によって多少違いますが、次の10の欄を押さえておけば足ります。自社の様式にこの10が入っているかを、まず見比べてください。
| No. | 欄 | 書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 報告日 | 報告書を出す日 |
| 2 | 宛先 | 発注者の会社名・部署(「御中」)、個人なら「様」 |
| 3 | 報告者 | 自社の会社名・住所・電話・担当者 |
| 4 | 工事名 | 契約書・注文書と同じ工事名 |
| 5 | 工事場所 | 住所。工場なら棟や階まで |
| 6 | 工期 | 着工日〜完了日(契約上の工期) |
| 7 | 完了日 | 実際に工事が終わった日 |
| 8 | 工事の内容 | 何をどれだけ施工したか |
| 9 | 完了の確認 | 仕様どおりか、試験・清掃・搬出の結果 |
| 10 | 写真・特記事項 | 施工前と完了の写真、変更点や引き継ぎ事項 |
このうち、宛先から工期までは契約書や注文書から書き写す欄です。工事名や工期が契約書と食い違っていると、相手の社内で照合するときに止まってしまいます。契約書を横に置いて、一字一句そろえて書くのが確実です。
工事の内容と完了の確認は、現場の人でなければ書けない欄です。ここを具体的に書けるかどうかで、報告書の分かりやすさが大きく変わります。
工事完了報告書の書き方|記入例
工事完了報告書の書き方を、記入例で見ていきます。例として、株式会社サンプル工務店(現場代理人 田中 太郎)が、株式会社山田製作所の第二工場で屋根を改修した場合を使います。
| 工事完了報告書 | |||||
| 報告日 | 2026年10月13日 | ||||
| 株式会社山田製作所 御中 | |||||
| 株式会社サンプル工務店 | |||||
| TEL 000-000-0000 現場代理人:田中 太郎 | |||||
| 下記のとおり工事が完了しましたので、ご報告いたします。 | |||||
| 工事名 | 山田製作所 第二工場 屋根改修工事 | ||||
| 工事場所 | 東京都サンプル市4-5-6 | ||||
| 工期 | 2026/10/05〜2026/10/12 | 完了日 | 2026/10/12 | ||
| 工事の内容 | 北面屋根の既存折板撤去、新設折板(t=0.8)葺き、雨樋交換 | ||||
| 完了の確認 | |||||
| No. | 確認項目 | 結果 | 確認者 | 備考 | |
| 1 | 仕様どおりに施工されている | 良 | 田中 | ||
| 2 | 雨漏りの散水試験 | 良 | 田中 | ||
| 3 | 周辺の清掃・片付け | 良 | 田中 | ||
| 4 | 残材・廃材の搬出 | 良 | 田中 | ||
| 施工前 | 完了 | ||||
| 写真(施工前 北面) | 写真(完了 北面) | ||||
(この下に5行あります。全体はダウンロードしたExcelで見られます)
上の画面は、この記事の無料テンプレートの「記入例」のシートです。空欄の「記入用」のシートもあり、Excelでそのまま書き込めます。工事完了報告書のテンプレートのページから無料でダウンロードできます。
宛先・報告者・工事名を書く
宛先は「株式会社山田製作所 御中」のように、会社名に御中を付けます。担当者が決まっているなら「施設管理課 山田 一郎 様」と個人名に様を付けてもかまいません。報告者の欄には、自社の会社名・電話番号・現場代理人の名前を書きます。相手が質問したいときに、誰に連絡すればよいかが分かるようにするためです。
工事名は「山田製作所 第二工場 屋根改修工事」のように、契約書と同じ名前にします。現場での呼び名(「第二工場の屋根」など)にしないのがコツです。
工期と完了日を書く
工期は契約上の期間を「2026/10/05〜2026/10/12」のように書き、完了日には実際に終わった日を書きます。予定より早く終わった、または雨で延びた、という場合は、特記事項に理由を一言書いておくと、相手が契約書と見比べたときに迷いません。
工事の内容を書く
工事の内容は、何を・どこに・どれだけ施工したかを、1〜3行で書きます。
- よくない例:屋根工事一式
- よい例:北面屋根の既存折板撤去、新設折板(t=0.8)葺き、雨樋交換
「一式」で済ませると、あとから「雨樋は含まれていたか」が分からなくなります。見積書の項目名をそのまま並べると、相手の社内でも照合しやすくなります。
完了の確認を書く
完了の確認は、工事が終わったときに自社で確かめた項目と結果です。屋根の工事なら次のような項目になります。
- 仕様どおりに施工されている
- 雨漏りの散水試験
- 周辺の清掃・片付け
- 残材・廃材の搬出
結果の欄には「良」や「済」、確認者の欄には確かめた人の名前を書きます。工事の種類によって、設備なら試運転、内装なら傷や汚れの確認、外構なら水勾配の確認、と項目を入れ替えて使ってください。
個人のお客様に出すとき
リフォームなどで個人のお客様に出す工事完了報告書は、会社に出すものより言葉をやさしくします。「折板」「母屋」のような専門用語には、「金属の屋根材」「屋根を支える横の部材」と一言添えると伝わりやすくなります。保証の期間や、お手入れの方法、困ったときの連絡先を特記事項に書いておくと、お客様が後から見返したときにも役立ちます。
特記事項と確認欄を書く
特記事項には、工事中に変えた点、相手にお願いしたいこと、保証書や取扱説明書を別に送ることなどを書きます。最後に発注者の確認欄(署名や押印、確認日)を設けておくと、受け取ってもらったことが紙の上に残ります。
工事完了報告書に付ける写真|選び方と並べ方
工事完了報告書の写真は、施工前と完了の写真を同じ位置・同じ向きで並べるのが基本です。一般には、施工前・完了の2枚を左右に並べる形がよく使われ、工事の範囲が広いときは、場所ごとに2枚ずつの組を増やします。
写真を選ぶときは、次の3つを意識すると伝わりやすくなります。
- 同じ場所を同じ向きから撮った写真を組にする。比べたときに違いがひと目で分かる
- 全景を1組入れる。どこの工事かが分かる
- 完成後に見えなくなる部分は、施工中の写真を1枚足す。下地や配管など
ポイントは、写真の枚数を増やすことより、組をそろえることです。施工前は北側から、完了は南側から撮った写真を並べても、相手には違いが伝わりません。着工前の写真を撮るときに、完了でも同じ位置から撮ると決めておくのが一番の近道です。撮り方の決め方は工事写真の撮り方でも説明しています。
工事完了報告書に付ける写真が多くなる場合は、報告書の本体には代表の数組だけを載せ、残りは工事写真台帳として別に添付する形もよく使われます。報告書は1〜2枚に収め、細かい記録は台帳に任せると、相手も読みやすくなります。台帳の作り方は工事写真台帳の書き方にまとめています。
工事完了報告書を出すタイミングと流れ
工事完了報告書は、工事が終わって自社の確認が済んだら、できるだけ早く出すのが一般的です。目安としては、完了から1週間以内に出しておくと、相手の記憶も新しく、請求の手続きにもつなげやすくなります。
- 自社で完了の確認仕様・試験・清掃・搬出を確かめて結果を残す
- 完了の写真を撮る施工前と同じ位置・同じ向きで撮る
- 報告書を作る契約書から工事名・工期を写し、内容と確認の結果を書く
- 発注者に渡す手渡し・郵送・メール。立会いで確認してもらうこともある
- 確認欄に署名をもらう受け取ってもらった記録を残し、請求に進む
発注者が立ち会って完了を確認する場合は、立会いの場で報告書を見せながら説明すると、そのまま確認欄に署名をもらえます。立会いがない場合は、メールでPDFを送り、原本を郵送する形がよく使われます。
工事完了報告書と請求書を同じ封筒やメールで送る会社もあります。相手の社内で「完了を確認してから支払う」という決まりがある場合は、報告書が先に届いていると支払いの手続きが早く進みます。相手の決まりが分からないときは、最初の工事で担当者に聞いておくと、次からは迷いません。
なお、日々の作業の中身を伝えるのは作業報告書、工事全体が終わったことを伝えるのが工事完了報告書、と分けて考えると、どちらも書きやすくなります。作業報告書については作業報告書の書き方で説明しています。
工事完了報告書の写真をまとめるときに
工事完了報告書を作るとき、一番時間がかかるのは写真を探す作業です。スマホやデジカメで撮った何十枚、何百枚の写真の中から、施工前と完了の同じ位置の写真を探し、Excelに貼り、大きさをそろえる。一般には、パソコンのフォルダを工事ごとに分けて、そこから選んで貼る形がよく見られます。
この方法でも報告書は作れますが、写真が増えてくると「施工前の北面はどの日のどのフォルダだったか」を探す時間が長くなります。現場ごとに写真の置き場所がばらばらになっていると、担当者が休んだ日に誰も見つけられない、ということも起きます。
フォトフクロウは、工事写真をフォルダのままドラッグして預けられるクラウドです。写真は撮影日時の順に並び、撮影日ごとに見出しが付くので、「着工日の写真」「完了日の写真」をすぐに見つけられます。選んだ写真は写真台帳にして、Excel(出したあとも直せます)やPDFで出せます。

写真台帳はA4の紙の上で直接直す画面と、Excelのように1行1枚で入力する表の画面の2通りで作れます。工事完了報告書の本体はExcelのテンプレートで作り、添付する写真台帳はフォトフクロウで出す、という分け方もできます。チームで工事を共有できるので、現場代理人が撮った写真を事務の人が台帳にまとめる、という分担にも向いています。14日間無料で、カードの登録なしに試せます。
工事完了報告書のよくある質問
工事完了報告書は必ず出さなければいけませんか?
法律で作成が義務づけられた書類ではありません。ただし、元請や発注者から求められることは多く、契約で提出が決まっている場合もあります。求められていなくても、完了の記録として出しておくと、あとで確かめるときに役立ちます。
工事完了報告書に決まった様式はありますか?
法律で決まった様式はなく、会社ごとに違います。元請や発注者から様式の指定がある場合はそちらに従い、指定がなければ自社の様式やテンプレートで作ります。
工事完了報告書の写真は何枚付ければよいですか?
決まりはありませんが、施工前と完了を同じ位置で撮った組を、工事の範囲に合わせて2〜6組ほど載せる形が一般的です。それより多い場合は、工事写真台帳として別に添付します。
工事完了報告書と完了届は同じものですか?
別のものです。工事完了報告書は発注者に工事の完了を報告する書類で、完了届や完了検査の申請は、法令にもとづいて行政などに出す手続きです。
工事完了報告書のまとめ
工事完了報告書は、工事が終わったことと、その中身を発注者に伝える書類です。法律で決まった様式はないので、相手が確かめたいことが1枚に載っているかで考えます。
- 宛先・工事名・工期は、契約書と一字一句そろえて書く
- 工事の内容は「一式」にせず、何を・どこに・どれだけ施工したかを書く
- 写真は施工前と完了を同じ位置・同じ向きで組にする
- 完了の確認を済ませたら、1週間以内を目安に出す
すでに自社の様式がある場合は、この記事の10の欄と見比べて、足りない欄だけを足すのが早い進め方です。様式がない場合は、工事完了報告書のテンプレートを自社の工事に合わせて直して使ってください。
工事写真の整理と台帳づくりを、もっと早く
工事写真をフォルダのまま預けて撮影日順に整理し、工事写真台帳をExcel・PDFで出力します。料金は月980円から公開しています。
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