検査・品質の記録·公開 2026年10月3日·FUKULO(合同会社商陣)

出来形管理とは?出来形管理基準及び規格値の読み方と、管理図表・写真の残し方

出来形管理は、工程管理・品質管理と並ぶ施工管理の柱の1つで、決められた項目を決められた頻度で測り、設計値との差が規格値に収まっているかを記録します。測る項目や規格値は、発注者が定める基準書に載っています。この記事では、基準の読み方、管理図表の作り方、写真の残し方を順に説明します。

目次
  1. 出来形管理とは|施工管理の3つの柱
  2. 出来形管理の基準|出来形管理基準及び規格値
  3. 出来形管理の進め方
  4. 出来形管理図表とは|書き方と例
  5. 出来形管理図表をエクセルで作るとき
  6. 出来形管理の写真|撮り方と整理
  7. 出来形管理の写真をまとめるときに
  8. 出来形管理のよくある質問
  9. 出来形管理のまとめ

出来形管理は、公共の土木工事を中心に、どの現場でも行われている施工管理です。一般には、測った値を発注者の様式やExcelの管理表に書き込み、出来形の寸法が分かる写真とあわせて、工事の完成のときに提出する形がよく見られます。

この記事では、出来形管理とは何か、基準と規格値をどう読むか、管理図表をどう作るか、写真をどう残すかを順に説明します。初めて公共工事の現場代理人になった人や、自社の管理のやり方を見直したい人が、自分の位置を確かめる材料にしてください。

出来形管理とは|施工管理の3つの柱

出来形管理とは、工事でできあがったもの(出来形)の寸法・形・位置が、設計図書のとおりにできているかを測って確かめ、記録する管理です。「出来形」は、工事の目的物のできあがった形のことを指します。

国土交通省の土木工事施工管理基準では、施工管理を次の3つに分けています(施工管理には工事写真も含まれます)。

管理何を管理するか主な記録
工程管理工事が予定どおりに進んでいるか工程表(ネットワーク・バーチャートなど)
出来形管理できあがった寸法・形が設計どおりか出来形管理図表・出来形の写真
品質管理材料や施工の品質が規格を満たしているか試験の結果・品質管理図表

出来形管理の目的は、契約図書で決められた出来形を確保することです。完成してから「寸法が足りない」と分かっても直すのは大変なので、施工と並行して測り、そのつど記録します。

ポイントは、出来形管理は「最後に測って終わり」ではない、ということです。たとえば道路の工事なら、路盤を仕上げた段階、舗装を仕上げた段階と、工程ごとに測ります。あとから見えなくなる部分は、その段階で測っておかないと二度と測れません。

出来形管理の基準|出来形管理基準及び規格値

出来形管理で何を測るかは、発注者が定めた「出来形管理基準及び規格値」に決められています。国土交通省の地方整備局が発注する土木工事では、土木工事施工管理基準の中にこの基準が含まれています(例:関東地方整備局の土木工事施工管理基準)。

基準に書かれていること

出来形管理基準及び規格値は、工種ごとに、おおむね次の欄で整理されています。

欄中身
工種土工・舗装工・コンクリート構造物など
測定項目基準高・幅・厚さ・延長など、測るもの
規格値設計値との差として許される範囲
測定基準どれくらいの間隔・頻度で測るか(「○○mにつき1か所」など)
測定箇所どこを測るか(図で示されることが多い)

規格値の数値は、工種や測定項目ごとに細かく決まっていて、改定されることもあります。この記事では数値を書き写さず、実際の工事では、契約のときに指定された年度の基準書を見て確かめてください。

基準の主な決まり

国土交通省の土木工事施工管理基準では、出来形管理について次のようなことが決められています。

  • 出来形管理基準に定める測定項目と測定基準で実測し、設計値と実測値を比べて記録した出来形管理図表を作って管理する
  • 測定基準が「○○につき1か所」となっている項目は、小数点以下を切り上げた箇所数を測る
  • 出来形管理基準で測った実測値は、すべて規格値を満たさなければならない
  • 測った結果はそのつど管理図表などに記録し、監督職員から求められたらすぐに見せ、工事の完成のときに提出する
  • 基準や規格値が定められていない工種は、監督職員と協議して管理する

都道府県や市町村の工事では、それぞれの発注者が独自の施工管理基準を出していることがあります。国の基準と同じ形のことも多いのですが、規格値や様式が違う場合もあるので、発注者の基準書と特記仕様書を確かめます。

3次元データを使う出来形管理

国の基準では、一定の規模以上の土工などで、TS(トータルステーション)やドローンによる空中写真測量、レーザースキャナーなどの3次元データを使って出来形を管理する要領も定められています。小規模な工事では、これまでどおりテープやレベルで測る形が中心ですが、発注者によっては3次元データでの管理を求められることもあります。

出来形管理の進め方

出来形管理は、着工前の準備から完成時の提出まで、1つの流れとして進めます。

  1. 施工管理計画を立てる基準書から工種ごとの測定項目・頻度・箇所を拾い出す
  2. 測る段階を決めるあとで見えなくなる部分は、その工程の終わりに測ると決める
  3. 測る・撮る設計値と実測値を記録し、出来形の寸法が分かる写真を撮る
  4. 管理図表に記録するそのつど書き込み、規格値に収まっているかを確かめる
  5. 提出する監督職員の求めに応じて見せ、工事の完成のときにまとめて出す
図:出来形管理の進め方(着工前から完成時の提出まで)

施工管理計画では、図面と基準書を見比べて、「この工種では、この項目を、何mごとに測る」という一覧を作っておきます。現場が始まってから基準書を開くと、測るべき段階を過ぎていた、ということが起きやすくなります。

測った値が規格値から外れそうなときは、早めに手直しをするか、監督職員に相談します。完成してから外れていると分かると、手直しの範囲が大きくなります。

出来形管理図表とは|書き方と例

出来形管理図表とは、測定項目ごとに、設計値・実測値・その差を並べて記録した表やグラフです。発注者によって、出来形管理表、出来形管理図、出来形図表などとも呼ばれます。

出来形管理図表の基本の形は、次のような表です。下は、ある擁壁の工事を想定した書き方の例です(規格値の欄には、基準書の値をそのまま書き写します)。

測点測定項目設計値実測値差規格値
No.1天端幅300mm305mm+5基準書の値
No.1高さ2,000mm2,008mm+8基準書の値
No.2天端幅300mm302mm+2基準書の値
No.2高さ2,000mm1,996mm-4基準書の値

表に加えて、測点を横に、設計値との差を縦にとったグラフを付け、規格値の上下の線を引く形もよく使われます。グラフにすると、差がどちらに偏っているか、規格値に近づいていないかがひと目で分かります。測定の数が多い工種では、差の値の分布を示す表やグラフを求める発注者もあるので、基準書や様式の指定を確かめてください。

書くときのコツ

  • 測点の名前は図面と同じにする。図面で「No.1+10.0」なら表も同じに
  • 差は「実測値 − 設計値」で書き、プラスとマイナスをそろえる
  • 単位は表の見出しにまとめて書き、値には書かない形にすると見やすい
  • 測った日と測った人を、表の上か下に書いておく

出来形管理図表をエクセルで作るとき

出来形管理図表は、Excelで作る会社が多く見られます。発注者がExcelの様式を配っていることも多く、その場合は様式に合わせて入力します。

自社でExcelの管理表を作る場合は、次の点を押さえておくと、あとで困りにくくなります。

  • 設計値と実測値を入れたら、差が自動で計算されるように数式を入れておく
  • 差が規格値を超えたら、セルの色が変わるようにしておく(条件付き書式)
  • 1つのシートに1つの工種、と分けておく。工種が混ざると提出のときに並べ替えが要る
  • グラフは、差の列を元にした折れ線グラフにし、規格値の上下を横線で入れる

ポイントは、測った値をその日のうちに入力することです。野帳(現場のメモ帳)にたまった値を工事の終わりにまとめて入力すると、写し間違いが起きても気づけません。その日に入力して規格値を確かめておけば、外れたときに手直しが間に合います。

野帳から管理図表までの流れ

現場では、測った値をまず野帳に書き、事務所でExcelに入力する、という流れが一般的です。このとき、野帳にも測点・測定項目・設計値を先に書いておき、現場では実測値だけを書き込む形にすると、写し間違いが減ります。Excelの管理表と同じ並びの記入用紙を印刷して、野帳の代わりに持っていく現場もあります。

入力したら、管理表の差の列を上から見て、規格値に近い値がないかを確かめます。規格値の内側でも、同じ向きに差が偏っている場合は、測り方や施工の癖が原因のことがあります。早めに気づけば、次の区間の施工で直せます。

なお、建築の工事でも、基礎の寸法や仕上げの精度を同じような表で管理することがあります。鉄筋の配置を確かめる検査については配筋検査の記事で説明しています。

出来形管理の写真|撮り方と整理

出来形管理の写真は、測った寸法が本当にその値だったことを示す証拠です。特に、埋め戻しやコンクリートで見えなくなる部分は、写真が唯一の記録になります。国の基準でも、工事写真は施工管理の手段として、出来形寸法などを写真管理基準により撮ることとされています。

出来形の写真では、次の3つが1枚に入るように撮ります。

  1. 工事黒板(工事名・工種・測点・設計値・実測値)
  2. スケールやテープ、スタッフ(数値が読めるように当てる)
  3. 測っている部分(どこを測ったかが分かる範囲)
工事名:サンプル川護岸改修工事
工種:擁壁工 天端幅
測点:No.1
設計値:300mm
実測値:305mm
例:出来形の写真に写す工事黒板の書き方

黒板の実測値は、管理図表に書いた値と同じにします。写真と管理図表で値が違うと、どちらが正しいかを説明しなければならなくなります。

出来形の写真は、測った箇所の数だけ増えていきます。撮った写真は、工種・測点ごとに整理し、管理図表の行と対応がつくようにしておくと、提出の前に慌てずに済みます。工事写真の撮り方全体は工事写真の撮り方で説明しています。

出来形管理の写真をまとめるときに

出来形管理の写真は、測点の数だけ撮るので、工事が進むと数百枚になることも珍しくありません。一般には、撮った写真をパソコンの工事フォルダに移し、工種や測点ごとにフォルダを分けて、写真台帳に貼る形がよく見られます。

この方法でも整理はできますが、写真が増えてくると「No.12の天端幅の写真はどれか」を探すのに時間がかかります。現場代理人のパソコンにしか写真がないと、事務の人が台帳を作るときに、毎回写真を受け渡す手間も出ます。

フォトフクロウは、工事写真をフォルダのままドラッグして預けられるクラウドです。写真は撮影日時の順に並び、撮影日ごとに見出しが付きます。写真ごとに工種・種別・細別・撮影箇所・説明を入れて、写真台帳をExcel(出したあとも直せます)やPDFで出せます。よく使う文例から選んだり、まとめて転記したりもできるので、測点ごとに説明を入れる作業が速くなります。

工事写真台帳の書類の画面。左に写真、中央にA4の台帳、右に見た目と並べ方の設定
実際の画面:台帳の書類の画面。A4の紙のような画面で直接直し、見た目は4種類から選ぶ

上の画面は、写真台帳をA4の紙の上で直接直す画面です。台帳の見た目は、標準・公共工事風・シンプル・ブルーの4種類から選べます。なお、フォトフクロウには電子納品(決められたフォルダ構成やXMLの出力)の機能はないため、電子納品が求められる工事では、発注者の決まりに合った方法で納品してください。社内の確認用の台帳や、民間工事の台帳づくりに向いています。14日間無料で、カードの登録なしに試せます。

出来形管理のよくある質問

出来形管理とは何ですか?

工事でできあがったものの寸法・形・位置が設計図書のとおりかを測り、設計値と実測値を比べて記録する施工管理です。工程管理・品質管理と並ぶ施工管理の柱の1つです。

出来形管理の規格値はどこで確かめればよいですか?

発注者が定める「出来形管理基準及び規格値」で確かめます。国の工事なら地方整備局の土木工事施工管理基準、都道府県や市町村の工事ならその発注者の基準書です。年度によって改定されるので、契約で指定された版を見てください。

出来形管理図表はエクセルで作ってもよいですか?

発注者の様式の指定がなければ、Excelで作ってかまいません。設計値と実測値から差が自動で計算され、規格値を超えたら色が変わるようにしておくと、確かめる手間が減ります。

民間工事でも出来形管理は必要ですか?

公共工事のような決まった基準がない場合もありますが、寸法を測って記録しておくことは、品質の確認やトラブルの防止に役立ちます。発注者と、何をどれくらい測るかを事前に決めておくと安心です。

出来形管理のまとめ

出来形管理は、できあがったものの寸法や形を測り、設計値との差が規格値に収まっているかを記録する施工管理です。

  • 測る項目・頻度・規格値は、発注者の「出来形管理基準及び規格値」で確かめる
  • 着工前に測定項目の一覧を作り、見えなくなる部分はその工程の終わりに測る
  • 出来形管理図表には設計値・実測値・差を並べ、その日のうちに記録する
  • 写真には工事黒板とスケールを入れ、管理図表と同じ値を写す

規格値の数値は工事ごとに違います。この記事で全体の流れをつかんだら、実際の工事では、契約で指定された基準書と特記仕様書を横に置いて進めてください。

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