工事写真の黒板の書き方|書く項目、工種別の記入例、文字の大きさと置き方
工事写真の黒板は、写真を見た人が「いつ・どこで・何を確かめたか」を読み取れるように書くのが基本です。国土交通省の写真管理基準(案)では、工事名・工種等・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図のうち必要な事項を書き、文字が読めるように写し込むとされています。この記事では項目ごとの書き方と工種別の記入例、写し込むときのコツを紹介します。
目次
工事写真の黒板とは|写真に「いつ・どこで・何を」を写し込む板
工事写真の黒板とは、工事の写真を撮るときに、工事名や工種、撮影の場所、寸法などを書いて、被写体と一緒に写し込む板のことです。「小黒板」「工事黒板」「工事用黒板」とも呼ばれます。昔は本当に黒い板にチョークで書いていましたが、今はホワイトボードにマーカーで書くものや、スマホの画面上に表示する電子小黒板も使われています。
工事写真の黒板を写し込むのは、写真だけでは分からない情報を、写真そのものに残すためです。同じような配筋の写真が何十枚も並ぶと、どれがどこの写真なのか、写真だけでは見分けがつきません。黒板に「どこで・何を・どの寸法で」と書いて写しておけば、写真が台帳から外れても、その1枚だけで内容が分かります。
一般には、工事写真の黒板は次の役目を持つとされています。
| 役目 | 黒板で示すこと |
|---|---|
| 写真の特定 | どの工事の、どの工種の写真か |
| 場所の特定 | 工事のどこを撮った写真か |
| 結果の証明 | 図面の寸法と、実際に測った寸法 |
| 日付の証明 | いつ撮った写真か |
公共工事では、黒板を写し込むことが発注者の基準で決められていることがほとんどです。民間工事でも、元請から黒板付きの写真を求められることが多く、撮影の基本として定着しています。撮影全体の流れは工事写真の撮り方の記事で扱っています。
工事写真の黒板に書く項目
工事写真の黒板に何を書くかは、国土交通省の写真管理基準(案)が目安になります。写真管理基準(案)(関東地方整備局が公開している写真管理基準(案))では、写真撮影にあたって、次の項目のうち必要事項を書いた小黒板を、文字が読めるように被写体と一緒に写し込むとされています。
- 工事名
- 工種等
- 測点(位置)
- 設計寸法
- 実測寸法
- 略図
「必要事項」とあるとおり、すべての写真に6項目すべてを書くわけではありません。たとえば着手前の全景写真なら、工事名と撮影の場所が分かれば十分です。一方で、寸法を確かめる出来形の写真では、設計寸法と実測寸法が欠かせません。写真の目的によって、書く項目を選びます。
写真の目的ごとに書く項目の目安
| 写真の目的 | 書く項目の目安 |
|---|---|
| 着手前・完成 | 工事名・撮影箇所・撮影日 |
| 施工状況 | 工事名・工種・種別・撮影箇所・撮影日 |
| 使用材料 | 工事名・材料名・規格・数量・撮影日 |
| 出来形管理 | 工事名・工種・測点・設計寸法・実測寸法・略図 |
| 品質管理 | 工事名・工種・試験の項目・結果・撮影日 |
| 安全管理 | 工事名・内容(朝礼・KY活動など)・撮影日 |
撮影日は、上の6項目には入っていませんが、多くの現場で黒板に書いています。発注者によっては、施工者名や立会者名を書くよう求めることもあります。実際の工事では、発注者の特記仕様書や元請の指示に従ってください。
工事写真の黒板の書き方|項目ごとの記入例
工事写真の黒板の書き方を、項目ごとに記入例で見ていきます。例は、株式会社サンプル工務店が、山田製作所 第二工場の屋根の改修で、タイトフレーム(折板屋根を留める金具)の取付けピッチを確かめた出来形の写真です。下の画面は、無料で配っている工事黒板の記入例のエクセルです。
| 工事黒板(記入用) | |||
| 工事名 | 山田製作所 第二工場 屋根改修工事 | ||
| 工種 | 屋根工事 | 種別 | 新設折板 |
| 細別 | タイトフレーム取付 | 撮影日 | 2026/10/09 |
| 測点・撮影箇所 | 北面 X2通り | ||
| 設計寸法 | ピッチ 333mm | 実測寸法 | 333mm |
| 略図 | (タイトフレームの位置と測った箇所を矢印で書く) | ||
| 施工者 | 株式会社サンプル工務店 | ||
| 黒板は写真の中で文字が読める大きさに写します。撮る前に、写真に写したい部分と黒板が重ならないかを確かめます。 | |||
工事写真の黒板の項目① 工事名
工事名は、契約書や注文書に書かれている正式な名前を書きます。記入例では「山田製作所 第二工場 屋根改修工事」です。長い工事名は、黒板に収まるよう文字を小さくするより、2行に分けて書くほうが読みやすくなります。同じ工事の中では、略し方をそろえます。
工事写真の黒板の項目② 工種・種別・細別
工種・種別・細別は、写真台帳の区分と同じ書き方にそろえます。記入例では、工種が「屋根工事」、種別が「新設折板」、細別が「タイトフレーム取付」です。黒板と台帳で区分の名前がずれていると、台帳に並べるときに迷います。公共の土木工事では、発注者の積算の区分に合わせて書くよう求められることが多くあります。
工事写真の黒板の項目③ 測点・撮影箇所
測点(位置)は、工事のどこを撮ったかを書く欄です。土木工事では「No.5+10.0」のような測点の番号、建築工事では「X2通り」「2階 洋室」のような通り芯や部屋の名前を書きます。記入例では「北面 X2通り」です。図面を見て、その場所を指で指せる書き方にするのが基本です。
工事写真の黒板の項目④ 設計寸法と実測寸法
設計寸法は図面や仕様書に書かれている寸法、実測寸法はその場でスケールなどで測った寸法です。記入例では、設計寸法が「ピッチ 333mm」、実測寸法が「333mm」です。2つを並べて書くことで、図面どおりにできていることを写真で示せます。実測寸法は、写真に写っているスケールの目盛りと同じ値を書きます。
工事写真の黒板の項目⑤ 略図
略図は、測った位置や撮った位置を、簡単な図で示す欄です。記入例では、タイトフレームの並びと、測った2つの間に矢印を書いています。ポイントはここです。略図は上手に描く必要はなく、「どこからどこまでを測ったか」が矢印で分かれば十分です。写真だけでは測った位置が分かりにくいときに、略図が効きます。
工事写真の黒板の項目⑥ 撮影日・施工者
撮影日は、写真を撮った日を書きます。前の日の黒板の日付を消し忘れたまま撮ると、写真の撮影日時と黒板の日付が食い違ってしまうので、朝いちばんに書き換える習慣をつけます。施工者の欄には、会社名を書きます。下請けの場合は、元請の指示に合わせて、元請名と自社名のどちらを書くかを決めます。
工事写真の黒板でよくある書き間違い
工事写真の黒板で多い書き間違いは、次のようなものです。どれも撮る前の数秒の見直しで防げます。
- 日付が前の日のまま、または撮影日と違う
- 測点や通り芯が、写真に写っている場所と違う
- 実測寸法が、写真に写っているスケールの目盛りと違う
- 工種の名前が、写真台帳の区分とずれている
- 字が小さい、またはかすれていて、写真で読めない
書き間違いに気づいたのが撮ったあとなら、黒板を直してその場で撮り直します。見えなくなる部分の写真は、あとからでは撮り直せないからです。
工事写真の黒板の記入例を工種別に見る
工事写真の黒板の書き方は、基本の項目は同じでも、工種によって書く中身が変わります。ここでは、よく相談される工種ごとに記入例を挙げます。値はあくまで書き方の例で、実際の寸法や項目は図面と発注者の指示に合わせてください。
| 工種 | 種別・細別の例 | 撮影箇所の例 | 寸法・内容の例 |
|---|---|---|---|
| コンクリート | 基礎コンクリート・打設 | 基礎 X1〜X4通り | 打設の状況、スランプなどの受入れ試験の結果 |
| 舗装 | アスファルト舗装・表層 | No.5 | 設計 厚さ50mm/実測 52mm |
| 鉄筋 | 基礎配筋・耐圧盤 | X2通り Y1〜Y2 | 設計 D13@200/実測 @200、かぶり 設計60mm/実測65mm |
| 掘削 | 床掘り | No.3 | 設計 深さ1.20m/実測 1.22m |
| 電気 | 屋内配線・隠ぺい配線 | 2階 洋室 北側の壁 | 配線の経路、ボード張り前 |
| 塗装 | 外壁塗装・下塗り | 北面 外壁 | 塗料名、塗り回数(下塗り1回目) |
| 足場 | 仮設足場・組立 | 南面 | 手すりの高さ、点検の結果 |
コンクリートの黒板の書き方
コンクリートの写真では、打設の前の型枠の中の清掃、打設の状況、受入れ試験(スランプ・空気量など)を撮ることが多くあります。受入れ試験の写真では、試験の項目と結果を黒板に書き、測っている様子と一緒に写します。打設の状況の写真では、打設した箇所と日付が分かれば十分です。
舗装・掘削の黒板の書き方
舗装や掘削の写真では、厚さや深さを示すために、検尺テープやスタッフ(目盛りの付いた測量用の棒)を当てて撮ります。黒板には測点、設計の厚さ(深さ)、実測の厚さ(深さ)を書き、略図に測った位置を示します。
鉄筋の黒板の書き方
鉄筋の写真では、鉄筋の径・ピッチ・かぶり厚さを書くことが多くあります。項目が多くなりやすいので、1枚の黒板に全部を詰め込むより、ピッチの写真とかぶり厚さの写真を分けて撮ると、黒板の文字が大きく書けます。
電気・塗装の黒板の書き方
電気の写真では、壁や天井の中に隠れる配線の経路を、ボードを張る前に撮ります。黒板には部屋の名前と壁の向きを書き、どこの配線かが分かるようにします。塗装の写真では、塗料の名前と何回目の塗りかを書き、工程ごとに撮ります。塗り重ねると前の工程は見えなくなるので、1回ごとに撮っておきます。
工事写真の黒板の文字の大きさと置き方
工事写真の黒板は、正しく書いても、写真の中で読めなければ意味がありません。書く・置く・撮るの順に、気をつけることを確かめます。
- 項目を書く工事名・工種・撮影箇所・寸法・日付を、太く大きな字で書く
- 置く位置を決める写したい部分を隠さない画面の隅に、黒板を立てるか持つ
- 大きさを合わせる写真の4分の1から6分の1くらいに黒板が写る距離から撮る
- 撮るピントを被写体に合わせ、黒板の反射や影がないかを見る
- その場で確かめる画面を拡大して、黒板の文字が読めるかを確かめる
文字の大きさ
工事写真の黒板の文字は、写真を台帳に印刷したときに読める大きさで書きます。台帳の写真は名刺くらいから、はがきくらいの大きさで印刷されることが多いので、黒板の上では思っているより大きく、太く書くのがこつです。マーカーやチョークは、細いものより太いものを使います。
置き方
工事写真の黒板は、写したい部分を隠さない場所に置きます。一般には、画面の下の隅に置く形がよく使われています。黒板が写したい部分に重なっていないか、撮る前に画面で確かめます。黒板を手で持つときは、手や体が写したい部分にかからないよう、腕を伸ばして画面の端に寄せます。
反射と影
ホワイトボードの黒板は、日光やフラッシュで白く光り、文字が飛んでしまうことがあります。黒板を少し傾けて、光の反射が画面に入らない角度を探します。逆に、黒板に人の影がかかると、文字が暗くなって読みにくくなります。
黒板が読みにくくなったときの扱い
国土交通省の写真管理基準(案)では、小黒板の判読が難しくなる場合は、デジタル写真管理情報基準に定める写真の情報(施工管理値)に必要事項を記入して整理するとされています。公共工事でこの扱いをする場合は、事前に監督職員と相談しておくと安心です。
工事写真の黒板と電子小黒板の関係
工事写真の黒板には、板の黒板のほかに、スマホやタブレットの画面上に黒板を表示して写真に記録する電子小黒板もあります。書く項目は板の黒板と同じで、書き方の考え方も変わりません。
国土交通省は、撮影と同時に黒板の情報を電子的に記入する「小黒板情報電子化」を認めています。写真管理基準(案)では写真の編集は認めないとされていますが、この小黒板情報の電子的な記入は編集にあたらないと定められています。公共工事で電子小黒板を使う場合は、写真の改ざんを検知できる機能(信憑性確認)を持つソフトを使うことと、事前に監督職員に申し出て承諾を得ることが求められます。
| 比べる点 | 板の黒板 | 電子小黒板 |
|---|---|---|
| 書く項目 | 工事名・工種・測点・寸法・略図など | 同じ |
| 書き直し | 撮るたびに手で書き直す | あらかじめ登録した内容を選ぶ |
| 持ち運び | 黒板と台を運ぶ | スマホやタブレットだけ |
| 公共工事で使うとき | 特別な手続きはないことが多い | 改ざん検知に対応したソフトと、監督職員の承諾が要る |
板の黒板でも電子小黒板でも、黒板に書く中身を先にそろえておくことが大事です。工事の初めに、工種・種別・細別と撮影箇所の書き方を一覧にしておくと、どちらを使っても書き方がぶれません。記入例のテンプレートは、電子小黒板に入れる項目を決めるときの下書きにも使えます。電子小黒板の付いたアプリと、それ以外のアプリの違いは、工事写真アプリの選び方の記事で整理しています。
工事写真の黒板を写したあとの整理
工事写真の黒板をきちんと書いておくと、写真を台帳にまとめるときに、黒板を見ながら工種や撮影箇所を書き写せます。一般には、撮った写真を工事ごと・工種ごとのフォルダに分け、黒板の内容を写真台帳の項目に転記して台帳を作る流れが取られています。
フォトフクロウは、撮った写真の整理と写真台帳づくりのためのクラウドのサービスです。電子小黒板(黒板の写し込み)の機能はないので、黒板は今までどおり板の黒板やお使いの撮影アプリで写し込みます。工事写真をフォルダのままドラッグして預けると、撮影日時の順に並び、撮影日ごとに見出しが付きます。

写真台帳の工種・種別・細別・撮影箇所・説明は、よく使う文例から選んだり、まとめて転記したりできます。黒板と同じ区分の名前を文例にしておけば、写真ごとに同じ言葉を打ち直す手間が減ります。出力の本体はエクセルで、同じ配置でPDFも出せます。14日間は無料で、カード登録なしで試せます。
台帳の項目と並べ方は、工事写真台帳の書き方の記事にまとめています。
工事写真の黒板の書き方のよくある質問
工事写真の黒板には必ず全部の項目を書く必要がありますか?
国土交通省の写真管理基準(案)では、工事名・工種等・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図のうち「必要事項」を書くとされています。着手前の全景なら工事名と撮影箇所、出来形の写真なら寸法と略図というように、写真の目的に合わせて選びます。
工事写真の黒板に撮影日は書くべきですか?
上の6項目には入っていませんが、多くの現場で書いています。発注者や元請が求めることも多いので、書いておくほうが安心です。前の日の日付の消し忘れに気をつけます。
黒板の代わりに紙に書いて写してもよいですか?
発注者や元請の決まりによります。小さな民間工事では、紙に印刷した黒板を写し込む方法も使われています。公共工事では、写真管理基準や特記仕様書に従ってください。
電子小黒板と板の黒板で、書く内容は変わりますか?
書く項目は同じです。公共工事で電子小黒板を使う場合は、改ざん検知に対応したソフトを使い、監督職員の承諾を得る必要があります。
工事写真の黒板の書き方のまとめ
工事写真の黒板は、写真を見た人が「いつ・どこで・何を確かめたか」を読み取れるように書くのが基本です。
- 工事名・工種等・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図のうち、写真の目的に必要な項目を書く
- 工種・種別・細別は写真台帳の区分とそろえ、測点は図面と照らせる書き方にする
- 文字は印刷しても読める大きさで太く書き、写したい部分を隠さない隅に置く
- 電子小黒板でも書く項目は同じ。公共工事では改ざん検知と監督職員の承諾を確かめる
まずは工事黒板の記入例のテンプレートを印刷して、自社の工事に合わせて項目名を直してみてください。現場で書き方をそろえる見本として使えます。
工事写真の整理と台帳づくりを、もっと早く
工事写真をフォルダのまま預けて撮影日順に整理し、工事写真台帳をExcel・PDFで出力します。料金は月980円から公開しています。
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